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シームレスなループ範囲の探し方 流れ編

こんにちは、シャチです。
前回シームレスループのコードについて解説しました。

syachi.hatenablog.jp


今回から、シームレスなループにするためのループ範囲の探し方について解説していきます。


シームレスなループ範囲の条件

シームレスなループ範囲には以下の条件があります。

  1. ループ前後の繋がりに違和感がないこと
  2. ループ時にノイズがないこと


シームレスなループ範囲は、この2つの条件を満たす音声ファイル上の範囲を見つければ良いということになります。
そして、そのためには波形編集ソフトなどで音声ファイルの波形とにらめっこする必要があるのです。


準備するもの

まず以下のソフトか、それに類似する機能を持つソフトをご自身のパソコンにインストールしてください。

Audacity

何に使うか:oggファイルを整形して、wavファイルに変換する
「Audacity」無料の音声編集ソフト - 窓の杜

②SoundEngineFree

何に使うか:wavファイルの波形からループ範囲を探す(サンプル数表示機能必須)
「SoundEngine」無料の音声ファイル編集ソフト - 窓の杜

③Mp3tag

何に使うか:oggファイルに LOOPSTART と LOOPEND のタグを追加して値を設定する
Mp3tagの詳細情報 : Vector ソフトを探す!


特に②番のサンプル数表示機能というのが超重要です。
Audacity でもサンプル数の表示はできるのですが、波形の最高拡大率が低くて作業がやりづらいため、私は SoundEngineFree をオススメします。

補足:サンプルってなあに?

DTM用語で、音を編集できる最小単位のことです。
1秒間がいくつのサンプルで成り立っているかを表す用語がサンプルレートになります。


例えば、サンプルレートが「 44100 」だとすると、44100サンプルで「1秒間の音」になります。
音声ファイルというのはサンプルの連続で音を表現しているのです。


つまり、音声ファイル上で位置指定をしたい場合、サンプルで指定するのが最も正確であると言えます。
だからサンプル数の表示が必要なのです。


デモンストレーション

流れを理解してもらうために、実際に私が音声ファイルからシームレスなループ範囲を探してみようと思います。

素材調達

今回使うのは、フリーBGM素材サイト
フリー無料のBGM素材・音楽素材「甘茶の音楽工房」

夏休みの探検|フリー無料のBGM素材・音楽素材「甘茶の音楽工房」
という音声ファイルです。


「甘茶の音楽工房」さんは私の動画でもメインのBGM調達場所として使わせていただいてます。
「騎士まほ」の世界観にマッチしたドラマチックな音楽がたくさんあるので本当に助かっています。
ご興味のある方、是非一度訪れてみることを強くオススメいたします。


で、それはさておき。
こちらの音声ファイル、一度通して聞いてみると解るのですが原曲をそのまま流してもシームレスなループにはなりません。(当然といえば当然なんですが)
さらに、配布されているファイル形式は ogg ではなく mp3 となっています。
このままではティラノスクリプトの素材として使いにくいので編集の必要があります。


それでは、さっそくやっていきましょう。

Audacity でファイルの整形と書き出し

f:id:white_grampus:20191215233432j:plain
まずはダウンロードした音声ファイルを【Audacity】で読み込みます。


f:id:white_grampus:20191215233437j:plain
f:id:white_grampus:20191215233443j:plain
次に、音声ファイルの先頭と末尾にある無音期間を削除します。


f:id:white_grampus:20191215233449j:plain
ここまで終わったらoggファイルとして書き出します。


f:id:white_grampus:20191215233453j:plain
そしてそのまま今度はwavファイルとして書き出します。


f:id:white_grampus:20191215233458j:plain
これで【Audacity】で行う作業は終了です。

SoundEngineFree でループ範囲の決定

f:id:white_grampus:20191215233323j:plain
次に書き出したwavファイルを【SoundEngineFree】で読み込みます。


f:id:white_grampus:20191215233330j:plain
曲を先頭から聴きつつ、曲調が変わるところに[ctrl + M]でマーカーを付けていきます。


f:id:white_grampus:20191215233338j:plain
マーカーで区切られた部分を聞き比べて、ひとかたまりの範囲を探します。


f:id:white_grampus:20191215233344j:plain
ひとかたまりの範囲が見つかったら、それがループ範囲となります。


f:id:white_grampus:20191215233352j:plain
ループ範囲を示すマーカー以外のマーカーを削除します。


f:id:white_grampus:20191215233358j:plain
それぞれのマーカーの位置を微調整して、ループ時にノイズが鳴らないようにします。


f:id:white_grampus:20191215233405j:plain
これで微調整が完了しました。


f:id:white_grampus:20191215233411j:plain
最後にループ部分を実際にループさせてみて、不自然なところがないかチェックします。

問題がなければ、これでシームレスなループ範囲が決まりました。


f:id:white_grampus:20191215233417j:plain
サンプルボタンを押して、表示の単位をサンプルに切り替えます。


f:id:white_grampus:20191215233423j:plain
シームレスなループ範囲を選択して、「始」と「終」のサンプル数をメモします。


f:id:white_grampus:20191215233427j:plain
これで【SoundEngineFree】で行う作業は終了です。

Mp3tagでoggファイルのタグ編集

f:id:white_grampus:20191215233502j:plain
次に Mp3tag を起動して、oggファイルを Mp3tag で開きます。


f:id:white_grampus:20191215233248j:plain
oggファイルにカーソルを合わせ、「タグを編集」ボタンを押します。


f:id:white_grampus:20191215233253j:plain
メタデータのフレーム内にある「フィールドを追加」ボタンを押します。


f:id:white_grampus:20191215233257j:plain
フィールド名を「LOOPSTART」にして、先ほどメモしておいた「始」のサンプル数を値の欄に半角数字で入力したらOKボタンを押します。


f:id:white_grampus:20191215233306j:plain
同様の作業を、フィールド名「LOOPEND」、値を「終」のサンプル数にしてもう一度行います。


f:id:white_grampus:20191215233312j:plain
OKボタンを押して閉じます。


f:id:white_grampus:20191215233318j:plain
これで【Mp3tag】で行う作業は終了です。



シームレスなループ範囲が設定されたoggファイルの完成!


以上でデモンストレーションは終わりです。


だいたい以上の作業を完了するのに、1時間20分程度掛かりました。
途中でここに載っける画像の保存などもしているので、実際にはもっと短い時間で仕上がるでしょう。(多分10~20分ぐらい)
慣れるとそんなに時間も掛かりませんし、難しくもありません。
(もちろんそれは対象の音声ファイルにも左右されます。今回のは割と簡単でした)


次回はこの作業の肝である「SoundEngineFree」でのループ範囲特定について解説しようと思います。
Audacity」や「Mp3tag」に関しては、さほど難しくはないと思うので割愛します。
(それでも要望があれば書きます。コメントに何が知りたいのかを添えてください)


お楽しみに。それでは。

追記

2019/12/15 画像に解りやすく説明文を入れました。そろそろ次の更新ができると思います。

P.S.私が作った最新の動画です。シームレスなループも使われています。ぜひご覧ください。


【第十話】優しい騎士と小さな魔法使い【後編】―動画版